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「キレイ事を言わない介護士だけ読んでください」そんなタイトルのAmazonレビューに惹かれて手に取った本。結論から言えば、正解だった。人間の暗部をかき集めて組み立てたようなストーリーにはハッピーエンドのハの字もなく、爽やかな読後感とは無縁だが、ある種の感動をもって胸に迫ってくる作品だった。

この話を聞いたとき、軽い衝撃を覚えた。否、それは、自分が立っている土俵が音を立てて崩れ落ちていく快感だったのかもしれない。脳内の隠し扉が開いたような感覚とも言える。4年ほど経った今でも、変わらないその感覚は「自分の経験や価値観で物事を判断するべからず」という戒めとなり、僕の胸に残っている。

「心の豊かさ」ほど、定義があいまいな言葉はない。行き過ぎた現代文明に対立する田舎での自給自足的生活や「足るを知る」精神を礼賛、肯定するニュアンスでよく使われる言葉だが、少なくとも僕は、そういった部分で「心の豊かさ」を感じられない人間である。

自分は何者なのか。何のために生きているのか。おびただしい選択肢を前に立ち往生するような人生は、無限の可能性を秘めた前途洋々たる人生とも言える。

キノコの中には毒キノコがあることは知っているけれど、それが実際にどういう形や色をしていて、食べるとどういう症状を引き起こしてしまうのか、というところまで知っている人は案外少ないのではないだろうか。

ここしばらくの間に読んだ本の中で、いちばんおもしろかった。捨てられた馬券を万馬券に偽造し、10年間で10億円の金を獲得した男の半生記。