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2020.5.24

飽きっぽくて仕事が続かない。そのことに悩む必要はない。

以前、複数の医院を展開する歯科医院で働く歯科衛生士の方にインタビューをしたときの話である。

「学生時代、いろんなバイトをしたけど、どれもすぐに辞めた。長くても1年くらいしか続かなかったので、社会人になってから同じ職場で長く勤められるかどうか心配だった。だから、新卒で入った医院を1年で辞めたときは、あぁやっぱりダメなのかと自信をなくした。でも当院で4年目を迎えた今、“続けられる自分”が見つかって自信を取り戻している」

未知なる世界への好奇心が旺盛で、目の前に階段が続いていないと物足りなくなる人なのだろう。「家では、ネットフリックスでドラマや映画を観まくっている。ただ、どれだけおもしろくて、どれだけ感動した作品でも、繰り返し観たことはない。恋愛でも、いっさい後ろを振り返らないから「怖い」と言われる(笑)」とも話されていて、とても一貫性のある人だと思った。

彼女はきっと、肌が合う環境に出会えたのだ。これまでその医療法人には複数回取材にうかがい、働き手が向上心や意欲を保ちやすい組織づくりに長けている印象を抱いていた。顧客満足度の高いスタッフが表彰される制度や「ひととおり仕事ができるようになればマネジメント的な役割を任されるようになる」といったキャリアパスが用意されているからか、意識の高いスタッフが集まっているとも感じていた。

刺激を求め続ける(現状維持が耐えられない)性分の人にとって、代わり映えのない日常を送ることは大きな苦痛が伴う。そういう人が「飽きっぽい」「根気がない」などと否定的に見られる節があるのは、ひとつのことをずっとやり続けられる人や、ひとつの会社で社会人人生をまっとうできる人を評価する価値観が根強く残っているからだろう。

だからといって、自分の中から湧き上がってくる欲求を抑えろ、というのは無理な話である。仮にその欲求に蓋をしたり、見ないふりをしたところで、いつかどこかでしわ寄せが来ることは目に見えている。

であるならば、素直に生きるしかない。会社や仕事に飽きることに罪悪感や抵抗感を覚えなくていい。ずっと階段を昇り続けていたいのなら、ドキドキワクワクする階段を見つけるなり、自分で作るなりすればいい。つまるところ、「自分の世界を広げ、高みを目指す」生き方に飽きなければいいのだ。

逆説的に言えば、そういう生き方しかできないのなら、固定観念にとらわれない心の強さや自由を備えておく必要がある。とにかくまずは自分の性分や欲求をしっかり解像し、正しく認識する。いい人生はそこから導き出せるのだ。