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2019.5.29

「月十万円の生活をしたい」と言ったMr.オクレ

昔、「オレたちひょうきん族」をきっかけに売れてきたMr.オクレがある日、「売れたくない。月十万円の生活をしたい。百万稼ぐよりも、月十万稼いで来月の家賃どうしようっていう、そっちの人生が目標なんですよ」と明石家さんまに話した、というエピソードが印象的。

一般に「貧乏」だと言われる暮らしを、これほど屈託なく肯定する価値観にはじめて出会ったかもしれない。

ただ、自身が触れてきた価値観とはかけ離れているので、ずいぶん戸惑っている。はじめは「足るを知る」清貧の思想を持つ「立派な」人かと思った。が、その生活を望んでいることを考えれば、現実を受け容れようとする達観めいた捉え方ではなく、むしろ夢を追うような気持ちでぎりぎりの暮らしをし続けることを目指しているのではないかと思い直した。

家賃が払えるかどうかという「切羽詰まった」状況に常に身を置いてこそ生まれる張り合いがあることは確かだろう。そのスリルと分かちがたく結びついている充実感や達成感を毎月味わえる人生をオクレさんは選び取ろうとした、ということか。

あまり興味がない人だったけど、この一言で俄然、興味が湧いてきた。誰かの憧れや模範にはなりづらいだろうが、世間のものさしに惑わされず、自分にとって「幸福」な生き方を追い求める人は爽やかだな、と思う。